育成就労制度と技能実習制度について

「育成就労制度」とは

「育成就労制度」とは、これまで30年ほど続いてきた技能実習制度に代わる新たな外国人在の枠組みとして、2027年に施行開始予定の制度です。
これまでの技能実習制度では、日本から外国への技術移転を主な目的としていましたが、実際には制度目的との乖離が見られたこと、また技能実習生に対する人権問題が生じたことなどが課題となりました。
そこで法改正により、技能実習制度で指摘されてきた課題を解消すると同時に、人材育成と人材確保を目的とした制度として育成就労制度が設けられました。

新たな育成就労制度では、特定技能制度への移行を容易にすることで、外国人のキャリアアップを可能にし、長期的な人材確保を目指すことを目的としています。

育成就労制度・特定技能制度Q&A | 出入国在留管理庁

「技能実習制度」と「育成就労制度」の比較

技能実習制度 育成就労制度
制度の趣旨 技能の習得、人材育成、国際貢献 日本の人で不足分野
人材育成、人材確保
在留資格 「技能実習」1号、2号、3号 「育成就労」
制度上の位置づけ 技能・日本語試験あり(実習2号修了者は免除)
滞在期間 最長5年(1号1年、2号2年、3号2年) 原則3年(「特定技能」1号の技能水準の人材を育成)
職種 主に移行対象職種(91種168作業) 育成就労産業分野 特定産業分野の一部(予定)
日本語要件 なし(介護のみ入国時日本語能力試験N4) 日本語能力試験N5(日本語能力A1)または日本語講習受講(認定日本語教育機関)
転職・転籍 原則不可(「やむを得ない事情」がある場合は可能) 「本人希望」一定条件下で可能。「やむを得ない事情」の範囲拡大
制度上の人数枠 なし(介護のみ入国時日本語能力試験N4) 特定技能に準拠(予定)
企業の受入人数枠 常勤職員総数に応じた人数枠あり 技能実習に準拠(予定)
支援機関 監理団体 監理支援機関(許可制によって室の高い支援機関のみ関与可能)
家族の帯同 不可 不可

技能実習制度と比較した育成就労制度の特徴

  • より外国人が安心して就労できる環境を推進している
  • 特定技能への移行を目的とした制度のため、長期的な滞在を前提としている。
  • 技能実習制度では「短期間で帰国する人」であったが、育成就労制度では「ずっと日本にいる人」を前提としているため、より高い日本語能力を要している

また外国人材の都市への集中を避けるため、地方の受け入れを優遇しているなどの特徴も挙げられます。